ブランチはニューヨーカーの生活にすっかり溶け込んでいます。
ブランチはブレックファーストとランチからなる造語で、朝食と中食の間にあたる午前11時過ぎ~午後14時過ぎ頃までおしゃべりを楽しむ食事イベントとして位置づけられています。
グループ客がテーブルを囲むシーンはテレビや映画でもお馴染みです。
カジュアルなカフェから高級レストランまで、特別メニューを提供しており、アルコール飲料が1杯ついて20~30ドル(約2,200~3,300円)が平均的な価格です。
6月17日の父の日は、市内のレストランのかき入れ時でした。
マンハッタン地区のローワーイーストサイドにあるレストラン「エセックス」では、定番のエッグベネディクティンやフレンチトースト、卵3個分の料理、ハンバーガーとポテトフライなどのメイン一皿に、カクテルの飲み放題がついて「父の日特別ブランチセット」として1名44ドル95セントで提供しました。ハレの日のごはんを父親にプレゼントする家族の姿が多数みられました。
好景気でややバブル感もあるアメリカでは、高級ホテルのレストランでビュッフェ形式のブランチが食べ放題で100ドルを超すところもあります。
観光客を目当てに、一生に一度の経験を売る商売魂のたくましさがあります。
実はニューヨーカーの間では、ブランチの人気は落ち着いてきています。
故アンソニー・ボーデイン氏が「ニューヨークの料理人は週末の客よりも平日の客に料理を出すことを優先している。その理由として週末の客はアマチュアとみているからね。ブランチは残り物を使った料理にすぎない。そのうえ朝食メニューの3倍の値段に設定したメニューになっている」と、業界の裏話を披露し、外食好きの人たちへの警句となりました。
[参考記事:2018/07/08 日経MJ]
ブランチにはエッグベネディクト。半熟のポーチドエッグを割る瞬間はたまりませんね。
そう、ニューヨークでの外食はそこそこお高いのです。メニューの価格に、消費税とチップがプラスされるので、日本の感覚で考えるとだいぶ割高です。
実はニューヨーカーの間ではすでにブランチブームは落ち着いてきており、ブランチメニューを提供しているお店は今ではもっぱら観光客狙いのようです。観光でニューヨークを訪れれば「せっかくなので」と、高くても一度はブランチに行っておこうという気持ちになりますよね。
メニューの食材の原価に対する価格設定ではなく、「経験」という付加価値に対してつけられた価格のようですね。それなりの価格をお支払いするならば、ニューヨーカー気分を味わえる「サービス」もしっかり味わいたいものです。