パナソニックが今年4月からジーンズやスニーカーでの勤務を解禁しました。
都賀一宏社長は自らもチノパンを履くなど、従来のスタイルを徐々に変えようとしています。
経営企画や人事、経理など約2,100人が働く大阪府門真市の本社に限らず、国内に約6万5,000人いる社員の服装は、工場などを除いて実質的に自由になりました。
この改革を始めたきっかけは「出戻り組」でした。
旧松下電器産業の出身で、日本マイクロソフト社長などを歴任、昨年4月に専務役員としてパナソニックに戻ってきた樋口泰行氏は、担当する社内カンパニーの拠点を大阪府門真市から東京に移転し、服装も自由にしました。都賀社長も支持し、全社に服装の自由化が広がりました。
2017年の夏、パナソニックの最高技術責任者(CTO)の宮部義幸氏は、東京秋葉原近くのスタートアップ企業のセレボ本社に岩佐琢磨氏をたずねました。
2008年にセレボを設立した岩佐氏でしたが、新会社シフト―ルを設立し、パナソニックに復帰することを決めました。
宮部氏が欲しかったのは「アジャイル」(素早い)と呼ばれる手法です。
社員のアイデアを素早く商品化して、小ロットの生産で市場に出し、顧客の声を聴きながら完成度を増していきます。
宮部氏は、「従来は社員が疲れて商品化にたどり着かないケースが多かった」と語っています。さらに、「私は聞いていない」と後から言われるのを避けるため、社内メールのCCに30人くらい入っていたと言います。なかなか斬新な商品を出せていなかった一因はここにあるようです。
都賀社長は、「同じ志を持って進める布陣が整ってきた」と話しました。今年6月末で都賀社長の社長在任は7年目に突入します。
[参考記事:2018/05/08 日本経済新聞]
大企業病を打破すべく、ついにパナソニックが社内改革を本格的に始めました。都賀社長は、スタートアップに転職した人を呼び戻したり、外部の力で社内起業を促すなど取り組んでいます。
経営の神様とも呼ばれた松下幸之助氏が創り上げたパナソニック。まずは服装をジーンズに替え、今後中身も大きく変わっていくのでしょうか。
受け継ぐべきことと、時代の変化に合わせて変えていかなくてはならないこと、その取捨選択が迫られています。これは大企業だけでなく、中小企業にとっても大切なことですね。